部下に「メモを取る習慣」を身につけさせる方法

日々の忙しい中で上司から矢継ぎ早に「指示」や「注文」が飛んでくる。

上司は「指示」を出してしまえばTo Do Listの1つが片付き一安心する。しかしその安心

もつかの間、部下が行き詰って聞いてくる。それも何度も・・・

なぜそうなるのか?

上司は「これぐらいわかるだろう」と仕事の期限や最終結果の形・レベル、途中報告の

ベンチマークが具体的でないのです。仕事の目的も抜け落ちています。

ましてや部下がメモを取っていないとすれば当然の結果でしょう。

 

ここで反省するのは、メモを取らない部下ではなくメモを取らせない上司の「指示」の

出し方に問題があります。逆では?と思われるかも知れませんがあながち部下のせいで

はないのです。

前提として、”「指示」したことの結果責任は上司にある”という意識が上司に薄いこと

がそもそもの原因にあります。”成果は部下のもの、失敗は上司のもの”と言われるよう

に「失敗」というリスクの方だけ上司にかかってきます。

部下が「失敗」したとき上司は部下のせいにしがちです。逆に部下は上司の指示どおり

にやったので責任は自分ではなく上司にあると思います。でも結局は上司がしりぬぐい

をしなくてはなりません。

そんな悪循環に陥らないために

部下に「メモを取る習慣」を身につけさせる方法を挙げてみま

す。

1)数字を多く使って指示をする

  数字とは日時、金額・数量、納期、人数、枚数・・・

  数字で表現できることは約とかおよそとかでもいいのですべて数字で指示する。

  適当、適時、適部、”なるはや”などと言ってはいけません。

  人間が瞬間的に覚えられる数字はアメリカの心理学者ミラーが提唱した「不思議な

  数7±2」(マジカルナンバーと言われる)に見られるようにせいぜい9個です。

  本当は「4±2」ではないかと言われるぐらいあまりにも少ないです。

  「指示」に数字がたくさんあれば当然覚えきれません。ならばどうなるかと言えば

  部下はメモを取らざるを得ない訳です。

  数字で示せば部下も仕事量や難易度もイメージしやすく全体感も把握しやすくなり

  部下の自己判断や修正がやりやすくなり上司に確認を取り回数も減りお互いWin-

  Winに繋がるのです。

 

2)一度に3~4個の「指示」を出す

  原理的には1)の考え方と同じです。ポイントは”一度に出す”です。この場合の

  「指示」は軽いものにした方がいいです。1)のように数字だらけになると数字で

  混乱してしまいまい伝達ミスが起こります。

 

3)”ここ重要”メッセージ

  ”ここ重要”とは、言葉の通り重要ポイントです。大学で教授が”ここは重要だから理

  解しておくように”と暗にテストに出すような言い方をしたりします。学生は本気

  で板書します。これと同じで全部が全部重要と言われると覚えようとしませんが

  上司がいくつか肝となるポイントを挙ると2~3個ぐらいなら手間ではないので

  部下は漏らさないようメモを取ってくれます。

 

このようにメモを取らないのは部下のせいだけでもなく、メモを取る行動を起こさせな

い上司にも原因があるように思います。

この上司に呼ばれたらやたらと数字が多いとか何個も指示を出すとかの先入観があれば

必ずメモをもって席を立ちます。その習性がほかの上司に対してもできるようになれば

しめたものです。

さらに、「もっと具体的な数字で指示してください」などというようになれば、その部

下はできるビジネスマンの入口に立っていると言ってもいいでしょう。

”どんなに記憶力が良くても1本のペンにはかなわない”こと

を上司、部下ともにしっかりと自覚してください。

  

余談ですが・・・

 私の場合、嫌いだったり厳しい上司から「指示」を受ける場合こそメモにしっかりと

書き記していました。

理由は2つあります。1つ目は間違った作業や結果であると厳罰が下るのを避けるため

でした。2つ目は指示内容が上司の中で途中で変わったり、言ってなかったことまで

「指示」したかのように詰め寄ってきたときに反撃できるようにするためです。

 得てして人に嫌われていたり、厳しい上司はコミュニケーション能力は高くなく「自

分は正しい」と自負している傾向があります。私の作業や結果に不満があればどんどん

詰め寄ってきます。そこでメモを取り出し「その点については指示されていない」とい

う事実を見せることで火に油を差すようですが反撃に打って出ます。

「言わなくてもわかるだろう」とか「自分で考えて動け」とか口撃されますが、私の

気持ち的には余裕をもって受け応えができます。

まさに”ペンは剣よりも強し”です。

 ここまでケンカ腰になりたいとは思いませんが、そんな上司の前で熱心にメモを取っ

ていれば「おやっ こいつ俺の話を真剣に聞いているな」「俺のこと慕っているんじゃ

ないか」とか私のことを好意的に捉えてくれることも十分期待できます。私への接し方

が微妙に変わった上司も何人かいました。